東京大学消費生活協同組合理事長
石田 淳
(総合文化研究科 教授)
東大生協が、前身の東京帝国大学協同組合から法人化して東京大学消費生活協同組合となったのは1949年2月のことでした。全国戦没学生の手記をおさめた『きけ わだつみのこえ』(東大生協出版部、1949年10月)の出版は、大学で学ぶ仲間ひとりひとりの声を聞く東大生協の原点ともなりました。
結成から70年を経て、東大生協の活動は、食堂部から、購買部、書籍部、トラベルセンターまで多岐にわたっています(出版事業については、1952年に東大出版会に譲渡しました)。一段と厳しさを増す競争環境の中、生協は、それでもなお構成員たる組合員の視点に立った事業運営を貫いてきたことに誇りをもっています。生協では、その定款第9条において、組合員には、「その出資金の多少にかかわりなく平等の議決権及び選挙権を有し、組合の事業の利用については平等の利益を受ける」権利を保障しているのです。
学生生活の充実は「消費」の充実にとどまるものではありません。生協は全国の大学生協と連帯して、事故にあった、あるいは病気になった学生に見舞金を支給するという形で学業継続のために学生が相互に助け合う「学生総合共済」事業も行っています。
生協の事業の範囲はひろがる一方で、組合員もますます多様化しています。そのひとりひとりに安心して充実した大学生活を送ってもらいたいと願い、そのためにも大学コミュニティを構成する組合員ひとりひとりの要望に真摯に応えたいと固く決意することにおいて、東大生協の基本姿勢は揺らぐことも変わることもありません。
設立 | 1946年6月創立、1949年5月「消費生活協同組合法」にもとづき法人格取得 |
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出資金 | 7億8,334万円(2021年度末) |
供給高 | 50億6,299万円(2021年度) |
事業部門 | 食堂部、書籍部、購買部、旅行サービス、共済 |
職員数 | 444名(2021年度末 正規職員28名、パート職員416名) |
組合員数 | 49,407名(2021年度末) |
理事長 | 石田 淳(総合文化研究科教授) |
専務理事 | 中島 達弥 |
代表住所 | 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 |
代表電話番号 | 03‐3814‐1541 |
2017年9月、中央食堂改装工事の際に不用意にも廃棄してしまった宇佐美圭司氏の作品<きずな>は、1976年に東大生協創立30周年を記念し、役職員の寄付金で宇佐美圭司氏作成を依頼し同年に寄贈いただいたものでした。1977年から40年間、中央食堂の壁に飾られ、東大の構成員を見つめてきました。
東大生協は、情報共有不足や絵画への理解不足により廃棄してしまったことを深く反省し、再発防止、歴史の継承に取り組むことを誓います。
経緯に関わる大切な文書(所属・肩書は2018年5月時点のものとなっております)
【2018年5月8日】
東京大学中央食堂の絵画廃棄処分について
東京大学理事・副学長 石井洋二郎(奨学厚生担当)、小関 敏彦(施設担当)
【2018年5月8日】
東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫びと経緯のご報告
東京大学消費生活協同組合 代表理事・専務理事 増田和也
【2018年5月8日】
東京大学中央食堂の絵画廃棄処分についてのお詫び
東京大学消費生活協同組合 理事長 武川 正吾
東京大学消費生活協同組合(以下「甲」という)と、一般財団法人東京大学出版会(以下「乙」という)は、下記の通り協定を締結する。
戦後まもなく、甲の前身である東京大学協同組合出版部が土台となって乙が誕生し、甲乙はその歴史を共有してきた。創立70年の節目を迎えた今日、世界の情勢が大きく変わる中で大学内における書籍事業・出版事業の在り方も見直しを迫られている。この状況において甲乙が一層連携を強めていくことは事業体としての側面だけでなく、大学という知のコミュニティを構成する人々がともに学び、問い、語り合う文化の振興を担う側面でも意義があるものと期待される。
書籍という媒体を扱うこと、学術的な発信を行うこと、『きけ わだつみのこえ』出版に象徴される平和活動など多くの歴史を重ねてきた両者であるからこそ、あらためて本協定を起点として、より一層それぞれの強みを生かし、共有し、昇華させることができるものと確信する。
(目 的)
第1条 本協定は、甲及び乙が包括的な連携のもとで下記事項を目指すことを目的とする。
(協力事項)
第2条 甲及び乙は、次の事項について互いに連携、協力し活動する。
(協力事項)
第3条 具体的な活動の内容、事業計画、役割分担、経費負担等については、両者の担当部署間においてその都度協議し決定する。
(秘密保持)
第4条 甲及び乙は、すでに公知となっている情報を除き、本協定に基づく活動を実施するうえで得た情報を、第2条に定める協力事項にのみ利用する。相手方の同意を得ることなく、当該情報を第三者に開示または提供してはならず、本協定終了後も同様とする。
(有効期限)
第5条 本協定の有効期間は締結日より1年間とする。ただし、期間満了の3か月前までに甲又は乙いずれかから書面による意思表示のないときは、同一の内容でさらに1年間更新されるものとし、その後も同様とする。
甲及び乙は、本内容を十分理解したことを相互に確認し、その成立を証するため次に記名し押印するものとする。本協定書は2通を作成し、甲と乙は各1通を保管する。
締結日 令和3年11月30日