就活のススメ
大学院を修了してからどのような進路に進むのか迷っている人は多いのではないのでしょうか。このページでは、進路の選択肢の一つである就職について紹介します。また先輩方の就職活動の体験談も紹介します。
大学院生の就職活動
大学院生の就職と一口に言っても、当然ながらいろいろなパターンがあります。学部生と同じように説明会やセミナーへの出席から始める場合、研究機関や大学の関係機関に就職する場合、博士号をとって研究者として就職する場合…。いずれにしても学部生の就職活動と異なるのは、院生の就職活動においては学部生以上に大学院で学んだ専門知識が活かせるということです。
学部より、専門領域を深く長く学ぶことができるのが大学院ですから、その知識を仕事に活かすことが求められます。大学院に進むほど真面目に勉強してきたという点ではよい評価をもらえるかもしれませんが、同時に求められるレベルが高くなっているということでもあります。しっかりと到達点を見据えて、研究と就職活動を両立できるように早いうちかからスケジュールを組むことが重要です。
昔と違って教員の紹介ですぐに内定がもらえるようなことは稀ですが、応募先によっては、特に研究職の場合には指導教員の推薦が求められることもあるので、教員との関係はなるべく良好にしておいたほうがいいでしょう。研究室の卒業生も含め、情報の窓口として大いに利用しましょう。
就活の時期
下図は大まかな就職活動のスケジュールです。2023年卒の就活においては、政府が広報活動の開始を3月以降に、採用選考活動の開始を6月以降に、正式な内定日を10月以降にするように勧告しています。しかしながら、就職活動は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を強く受けることが予想されるため、早期から企業説明会に出席するなど情報収集に努め、希望する業種や企業の採用情報を自分から積極的に把握する必要があるでしょう。
先輩たちの就活体験談
A・Kさん(2017年修士卒) 学際情報学府 文化・人間情報学コース
一般的に「大学院生の就活は不利」と言われていますし、実際にその通りだと感じました。事実、何人もの友人が就活で苦戦しているのを間近で見てきました。文系院生の場合、本格的な調査や分析に取り掛かることの多いM2春~夏頃は他に時間を割く余裕がないので、就活で不利になるのも当然です。
とはいえ、大学院生ならではのメリットもあります。就活の定番の「学生時代に一番頑張ったことは?」という質問には、胸を張って「自分の研究です」と答えられます。研究に費やした努力は就活では意外と評価されるものです。また、日々の研究で培った自分の立ち位置を客観的に捉える視点や、そのなかで自分の熱意を説得的に主張していく力は、就活でもエントリーシートや面接で大きな武器になります。
今思えば、「就活解禁」よりも前から真剣に就活をすればよかったと後悔しています。時間に余裕のあったM1の夏のインターンを通してエントリーシートやWEBテストの経験を積んでおき、あわよくばM1の段階で内々定を取っておけば、M2の時期は研究に専念できたかもしれません。
そんな私の就活ですが、学校から私服で行き、面接ではその日のゼミ発表での失敗をひたすら語った会社に拾っていただきました。2017年度からはコンサル・リサーチ業界にて働きます。大学院生としての自分を長所も短所も全部含めてPRできたことが、就活でも評価していただけたのだと思います。
A・Tさん(2021年修士卒) 工学系研究科 電気系工学専攻
私は、学校推薦を使って電機メーカーから内定をいただきました。私は、就活にあたる上で大学の内外で行われた企業の合同説明会に参加するなどした結果、自分の学んできた分野を活かせる企業に就職したいと思い、学科の推薦で行くことのできる企業から就職活動を行いました。
技術職に応募する場合、一般的に「技術面接」を受けることになります。私も、どの企業の面接にあたっても自分の研究についてのスライドを作っていき、研究の内容や意義、今後の研究活動の展望についての説明を10分程度で行いました。その後、研究内容についての説明や、研究にあたって努力したこと、研究のほかに力を入れて取り組んだことなどを中心に質問されました。これらの質問は、どの企業でもよく聞かれたので、あらかじめ話す内容を考えていくとよいと思います。
学校推薦の形態は所属する学科によって異なると思いますが、私の場合は推薦してもらうにあたって内々定を出していただく必要があり、なかなか3月中にはその内々定をもらうことができず、また就職活動と学内の研究の中間発表の時期が重なってしまったこともあり、精神的につらいこともありましたが、5月に入ってようやく内々定をもらうことができました。学校推薦を利用する場合でも、就職活動を軽視せずに、様々な企業の情報を収集したりエントリーしておくほうがよいと思います。
Y・Aさん(2021年修士卒) 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻
いわゆる情報系の就職活動ではインターンやアルバイトでの経験をそのまま活かせる場合もあり、同じ専攻の人でもそのような就職活動をしている人がいました。私はそのような経路での就職活動ではなく、おそらく文系就職と違いのないような「ガクチカ」「自分の長所」ベースでの就職活動と、学校推薦を利用した就職活動の両方を経て就職先が決まりました(なお、通常応募では採用せず必ず推薦応募でないと採用しない企業もあるという説もあるのでこれには注意が必要です)。
私が通常応募と推薦応募の違いとして最も大きいと感じたのは、就職活動に対する社員側からの支援です。通常応募では、特に自分から働きかけることがない限りOB・OG訪問のような選考前段階の個別の相談の機会はなく、自らインターンや説明会に参加し、そこから情報収集する必要があります。一方、推薦応募では、専攻によるとは思いますが、専攻内での説明会開催が存在することもあり、OB・OG訪問の時間も十分にとっていただけました。選考段階においてもなんとかうまくいくように支援くださったりと、かなり優遇されているように感じました。専門を生かした話もしやすく、アピールとして大学で何をやってきたかを利用することもやりやすいです。実際推薦応募は内定率は通常応募に比べるとかなり高いであろうことが推測されますが、油断をするとうまく行かないことに変わりはないようです。インターンや説明会は必須ではありませんが、通常応募同様に情報収集することや、練習を兼ねて選考を受けてみるといったことは推薦応募においても多分役に立つと思います。
推薦応募には専攻ごとに制約があったり、辞退が基本的にできなかったりとデメリットもありますので、よく考えて応募することをおすすめします。私の場合、推薦応募は5月に始めて5月中に完結していますので、焦って応募する必要はないと思います。ただし、可能性があるならばOB・OG訪問などの機会は持っておくと良いと思います。自分の専攻の先輩が親身に対応していただけるので、精神的にもかなりの助けになるはずです(かくいう私は5月になって内定がなく焦ってOB・OG訪問をお願いするということをしています)。もし困ったらキャリアサポート室や理工連携キャリア支援室といった一部の専攻向けのサポートを利用するとよいです。本当に一番困ったときにはよいアドバイスをもらえると思います。