留学について

「研究のため」「国際的視野を広げたい」など、人により留学の目的はさまざまと考えられますが、大学院において留学を検討する際、どのような選択肢が考えられるのでしょうか。ここでは留学に関するさまざまな情報についてお伝えします。

留学の形態

留学は目的によって留学期間や方法が異なってきます。東京大学では各国の有名校と協定が結ばれ、留学希望者に対し数多くの公募プログラムが用意されています。公募プログラムでは、大学から各種の支援を受けることができます。
また、個人応募という方法もあります。こちらは自由度が高いという長所がありますが、その一方で情報収集から書類申請、留学資金の準備まで、全て自己責任で行うことになります。ただし、国際卓越大学院履修生を対象とした留学支援など大学から奨学金の助成を受けられる場合があります(工学系研究科海外武者修行プログラムなど)。

留学形態と実施主体(公募の場合)

留学期間実施主体備考
長期留学(4ヶ月〜1年)東京大学学内部局有名校との全学協定研究科により異なる
短期留学(2週間〜3ヶ月)国際団体海外大学研究会議など語学研修など

大学院生の留学率

東京大学が2017年に実施した学生生活実態調査によると、大学院在籍者の留学体験率は下表に示されたようになっています。大学院生全体における入学後の留学体験率は7.8%とそこまで高くないように感じられる一方、修士課程から博士課程にかけ3.7%から16.8%へと大きく上昇していることや、文科系は理科系に比べ留学体験率が高いなど、興味深い事実が読み取れます。また下表には乗っておりませんが、海外学術調査の経験が「ある」と答えた人は13.3%(終始:7.9%、博士:26.7%)と、下表の項目に比べ、やや高めの数値となっています。

大学院在籍者の留学体験率

留学期間あるない
全体7.8%92.2%
修士課程3.7%96.3%
博士課程16.8%83.2%
文科系7.9%92.1%
理科系7.7%92.3%

2017年『学生生活実態調査』より

留学のプロセス

留学の実態は目的やプログラムにより様々ですが、その大まかなプロセスは共通しています。ここでは、留学に至るまでにどのようなステップを踏む必要があるのかについてまとめました。具体的な期間や、用意すべき書類等は、応募先のホームページを参照してください。

情報収集について

留学を検討する際はまず、所属する研究科のホームページを確認し、国際交流を担当する部署に問い合わせましょう。これは、原則として学生は所属する研究科を通じて留学手続きを行うためです。研究科によっては独自に海外の大学と協定を締結しており、そのような大学は自分の専門分野と近い分野で研究できる留学先としてよく選ばれています。具体的な留学プログラムではなく海外留学に関する全般的な情報が欲しい場合は、本郷では理学部1号館東棟の「Go Global センター」、駒場では 21 KOMCEE West 地下一階の「グローバリゼーションオフィス」を訪れてみるのもよいでしょう。
また、東京大学の公式海外留学情報サイトであるGo Global Websiteでは、留学の基礎的な知識について学べるほか、説明会や奨学金制度、体験談のページも充実しています。留学だけでなく、海外インターンシップや国際ボランティアについても紹介されているのが特徴です。

留学で得るものは?

留学にあたっては、メリットとデメリットの両方について把握することが重要です。ここでは、東大生らの実体験をもとに、留学で得たものや、注意点について、多かった項目をまとめてみました。なお研究目的の留学については、下記の留学体験談もご参照ください。

成長

○ 海外の文化を学べた
○ 日本をより深く理解した
○ 度胸がついた

語学力

○ 必要に迫られて向上した
× 日本をより深く理解した
× 度胸がついた

就職活動

○ 視点が変わり幅が広がった
△ 留学のみでは評価されない
△ 選考予定を把握する必要あり

友人

○ 世界各国に友人ができた
○ 友人を頼ることを覚えた
× 関係構築に失敗すると孤独

留学で得るものは?

N・Wさん(総合文化研究科)
留学先:モスクワ(ロシア)目的:現地調査 期間:1年

留学先の選定とその目的

私はロシア語言語学を専攻しており、現地調査を行いたいと考えていました。また、将来的にロシア語教員を目指すにあたって、一定期間の留学経験が必要とされます。指導教員の薦めで、所属する研究科と協定のある大学に一年間交換留学しました。

行った手続き

事前に受け入れ先の担当者の方と連絡を取り、研究分野の近い指導教員を紹介していただきました。交換協定があるためか煩雑な手続きはありませんでした。また東大側に対しては、学振の関係で休学等の届出は行わず、海外渡航の手続きを行いました。

気を遣うべきこと

何よりもまず、留学前に目的を明確化し、計画を立てておくことが大切です。私は調査がなかなか計画通りには進みませんでしたが、それでも何とか事前に考えていたことはおおよそ達成できました。留学前の諸手続きも思いのほか時間がかかる場合があるので、早めに取りかかると良いでしょう。ことばや習慣の異なる場所で過ごすことで戸惑う麺も少なくありませんが、多くの貴重な体験をできました。人文系の学問を行う上で、やはり現地にいくことが大切だと改めて実感しました。

S・Mさん(情報理工学系研究科)
留学先:ミュンヘン(ドイツ)目的:海外経験と単位取得 期間:1セメスター(半年)

留学先の選定とその目的

理系全般に言えることではあるのですが、計算機科学を専攻している私は日々論文読解などで英語を使用して研究を行います。このため、東大においても最先端の内容を扱う講義は英語で開講されることもままあります。そこで、以前から海外での生活に興味を持っていた私は「どうせ英語で講義を受講するなら海外の大学で講義を受講して単位を取得してしまおう」と考え、所属する研究科のプログラムを利用して半年間の交換留学に申し込みました。もともと多言語文化圏である欧州に興味を抱いていた私は、その中でも最も時期が都合の良かったドイツの大学を留学先として選択しました。

行った手続き

まずは研究科の国際交流担当部署と連絡を取り、指示に従って書類を作成していきました。加えて、TOEFL iBTを受験してそのスコアを提出しました。また、基本的に現地で講義を受講して単位を取得するという形式での留学であったため、専攻の事務の方と相談した結果休学等の手続きは行いませんでした。その代わりに指導教員と留学中に行う研究について話し合いを行いました。特に単位取得を目的とした交換留学では、指導教員と研究計画についてすり合わせを行うことが極めて重要です。

気を遣うべきこと

私は修士課程の修業年限を延長することなく留学を遂行したいと考えていたのですが、その実現には指導教員や専攻事務の方々、留学担当の事務の方々との綿密な情報交換が必要でした。これは留学全般において重要なことと言えるので、少しでも不確かなことがあれば逐一然るべき人・部署と連絡をとって確認をとる癖をつけたほうが良いでしょう。また留学中に海外でのインターンシップを経験したいと思う方もいるかもしれませんが、海外のインターンシップは2、3ヶ月等の長期インターンシップが基本なので、検討している方は実際に留学する前から準備をしたほうがいいでしょう。私は現地でドイツの留学ビザはインターンシップの参加を許容しているということを知り、授業期間が終わった後の1ヶ月を利用してインターンシップに参加したいと思い申し込んでみたのですが、1ヶ月では短すぎるという理由で断られてしまいました。