学部と大学院の違い

いよいよこれから始まる新しい大学院生活。でも、大学院は学部とはどう異なるのでしょうか?
このページでは体験談を交えながら、単位・講義などの事務的な側面から解説を進めていきます。

大学院の講義

必要な単位数

必要な単位数は修士で30、博士で20ほど(ただし、修論・博論などを含む)。内実は研究科やコースによって異なるので、ガイダンスで配られる便覧などで各自調べて下さい。まずはセミナー・修了論文などといった必修科目を押さえることが重要です。残りの単位に関しては、自分の所属しているコース以外の講義の履修も認められる場合もあります。また、学部生向けの講義の履修も認められる場合があります。

在学中の履修計画

大学院生は研究が中心です。ゆえに、単位上限がないからといって、あまり講義を詰め込みすぎるのも考え物です。ただ、在学期間後半になるほど、修了論文などで研究が忙しくなってくる傾向にあるので、可能な限り早い内に単位を取りきってしまいましょう。修士課程では週6〜7コマ程度入れておけば2年次までにほとんどの単位は揃ってしまう計算ですから、さほどの負担ではないでしょう。単位に関する縛りがきつくないのが、大学院のありがたいところです。
なお、博士課程に進む方は、修士課程時に余分に習得した単位を博士課程に持ち越すことが出来る場合もあります。

履修登録についての注意

履修登録に使うUTASのログイン画面

講義の履修登録は、UTASというオンラインシステムを利用して行います。Sセメスター(夏学期)の履修登録期間は例年、4月中の約2週間と非常に限られているため、ご注意ください。

講義の内容

大学院の講義にも色々ありますが、学部と比較してゼミ形式の講義の比率が多くなります。つまり、ある文献について輪読して担当者が発表し、そしてその内容に関して質問や議論を重ねて理解を深めていく、といったものです。レジュメの質は高いものが多く、念入りな準備と相当量の予備知識が必要となります。しかし視点を変えれば、自分の研究テーマがあらゆる発表の場で活かせるわけですので、意欲をもって取り組めば取り組むほど面白いゼミを展開できるでしょう。
また研究室や専攻によっては週1・2回のセミナーへの出席が求められることがあります(制度上は必修科目です)。内容は研究発表や論文紹介などが中心で、他の研究室と合同の場合が多く、研究の視野を広げる機会となるでしょう。

TAについて

修士になると、講義のお手伝いや学部生の指導を行うTA(ティーチング・アシスタント)を頼まれることがあります。研究室内で自然と話が回ってくることが多く、時給1300円程度のアルバイトの形式がほとんどです。授業を受けつつアルバイトにもなる、学内で手軽にお金を稼ぐことができるという点で、学生にはありがたいものです。また、資料作成などの作業時間も給与に反映されることもあります。ただし学部生のレポートをまとめる、テストの採点を行うなど学期末に負担が増える可能性があります。就職活動や研究が忙しい時期と重なることも多いので、あらかじめ業務内容を把握してから臨むのがよいでしょう。

研究室での生活

院生の役割

多くの研究室で、修士1年生は研究室で行われる自主ゼミやミーティングの運営・管理を任されます。学生室や実験室の維持管理や、研究会や合宿など研究室内外のイベントの企画も院生が中心に行います。研究室によっては、HPの更新や備品の発注・伝票管理を院生が行う場合もあります。また大学院生の大切な仕事として後輩の指導があります。特に学部4年生が多い研究室では、スライドやミーティング資料のチェックを行うことや、研究についてアドバイスを求められることもあるでしょう。学生によって多少事情は異なりますが、大学院生が研究室の中心であることは間違いありません。研究室は社会との繋がりが深い場所であり、大学院生にも社会人としての振る舞いが求められます。大学院とは社会を学ぶ場でもあるのです。

アルバイトについて

2019年の学生生活実態調査によると、東大では大学院生の65.6%がアルバイトを行っており、学部生の67.1%(同調査2020年)と同程度であることが分かります。種類としては、前述のTAが33.3%、塾・予備校の講師が17.6%、家庭教師が7.9%となっています。中には飲食業や事務員のアルバイトをする学生や、平日研究に集中し休日まるまるアルバイトをしている学生もいます。研究は本人の裁量次第の部分が大きく、時間管理を工夫することで時間を捻出することが可能です。ただし時間の都合は研究室によって大きく変わり、休日も研究室に来なければいけないところや、頻繁に研究上の用事が入る研究室も多く、アルバイトを行うことが難しい場合もあります。始める前に先輩や先生と一度相談してみましょう。

研究室生活を楽しむために

研究室は研究や雑用を行う場であると同時に、様々なバックグラウンドを持った人間が集まり語らう場でもあります。週末ごとに飲み会を行う、休日にみんなでスポーツに興じるなど、学校内外で仲の良い研究室はたくさんあります。同時に、研究室の人間関係に悩んでしまう人や、教員からのアカデミックハラスメントに悩む人がいることも事実です。悩み事があるときにはハラスメント相談所や学生相談所などに相談してみてください。

留学生・英語について

留学生について

大学院は学部と比べて留学生と交流する機会が格段に増えます。大学院全体では修士、博士、研究生を合わせて4274名(2021年11月1日現在)の留学生がおり、特にアジア圏が3829名を占めます。一般に理系の研究室のほうが留学生は多く、研究室によっては日本人学生より多い場合もあります。研究室に留学生が在籍することになると、大学院生がチューターとして役所への申請や日々の生活の手助けを行います。留学生と交流することで英語を学ぶ機会にもなるので、積極的に交流してみて下さい。

研究の場での英語

大学院では、理系でも文系でも、英語を使う機会が数多くあります。日本ではほとんど研究されていない分野であり専門書が英語のものしかない、ということも多いです。ミーティングを全て英語で行っているところもあり、英語が話せなければ非常に苦労することになります。
一部の研究科では外部の英語講師を招いたスペシャルイングリッシュレッスンなども用意されています。

先輩達の大学院生活

C・Kさん(学際情報学府学際情報学専攻 総合分析情報学コース 修士1年)の場合

講義について

2021年度は感染症の影響で2020年度に引き続きオンライン講義が主流でした(画像はイメージです)

 後で研究生活が楽になるように、修士課程1年次のうちに修論以外の単位を取りきっておこうと考えました。実際に学府の先生方からも概論などの1年のうちに取れる必修単位は、1年のうちに取るように推奨されます。私の研究室では学生が取る講義はある程度共通しているので、全体ミーティングや論文輪講はその講義がない時間帯になるように考慮してもらっていました。学部に比べ講義が少なく楽なように見えますが、研究活動(研究のための論文探索や作業・勉強、ミーティングでの発表のための準備など)を含めると忙しいので、計画的に講義と研究活動を両立することが重要です。
 また、毎週決まった時間を確保するのが難しい場合は集中講義を履修する手もあります。学際情報学府では様々なコースの学生が集まって開く制作展がありますが、これもきちんと履修すれば単位として認められています。

C・Kさんの時間割

集中講義: AIシステム基礎論
集中講義: AIシステム実践論
集中講義: 総合分析情報学特論ⅩⅢA

通年集中講義: 学際情報学概論Ⅲ

研究生活について

 私の研究ではスマートビルシステム構築のためのプログラミングと実証実験が主となります。以前は研究室に毎日行く学生が多かったそうですが、感染症の影響で全体ミーティングやチームミーティングなどほぼ全ての研究活動が在宅で行えるようになっています。ただ、集中するため研究室に通って作業をしている学生もいるようです。
 私が関わっている分野では機械学習を利用して研究を行うことも多いため、研究室には高性能なコンピュータが何台か配置されています。アクセス権などの管理は代々学生に任されていますが、わからないことは引き継ぎ文書を確認したり、その都度教員や先輩に確認したりするようにすれば心配はいらないと思います。また、研究室内では研究分野ごとに分かれたチームが存在し、毎週のチームミーティングで研究活動の進捗状況を担当教員に報告・相談することができます。研究の進め方に迷ったときには一人で悩むのはほどほどにして、教員や先輩に相談することも大切です。一人では気づかなかった解決法を教えてもらえるかもしれません。
 研究活動と就職活動との両立が目下の悩みですが、試行錯誤して面白い研究テーマを見つけ修論につなげられるように頑張りたいです。

T・Kさん(教育学研究科総合教科学専攻 修士1年)の場合

講義について

 研究にどれ位時間がかかるかは予見しにくい場合もあります。ゆえに、できるだけ早いうちに修了単位はそろえてしまった方が賢明でしょう。
外部から入学した人は(私自身学部時代の専攻が違ったのですが)、学部生の講義に出席し、基礎事項を学ぶことも大事です。学部の講義も制限はありますが、いくつかは修了単位に含めることが可能なため、私は積極的に受講しました。また、他のコースのゼミに顔を出して知見を広めることも行いました。
 大変だったのは、研究室の管理係になったり、ゼミの運営を任されたり、食事会をセッティングしたりと、雑用が多くなったことです。全ての時間を勉強や研究に回せないのは、どこの研究室でも同じだと思います。院生になると、時間とスケジュールの自己管理が何より大事であることを痛感しています。

T・Kさんの時間割

研究生活について

ゼミでは熱い議論が繰り広げられることも多々

 調査にかける時間は、研究内容によって左右されます。ひたすら資料に当たる調査ならば、講義やゼミ以外の時間は図書館に入り浸り、という人も少なくありません。
 また、フィールドワークを本格的に行う人は、ある地方共同体に1ヶ月程入り込み、インタビューなどの取材を繰り返し、また時間をおいて再度同じ調査を…といった生活をしています。余った時間は分析や参考文献調査、同分野での研究動向のチェックなどに割かれるのですが、教育学の裾野は広いので、どれだけ時間があっても十分ではないのが研究者の辛いところです。
そして仕上がった論文は学会誌に寄稿したり学会で発表したりしますが、これも人によってペースはバラバラです。院生レベルなら年に1〜2本寄稿できれば良い方ですが、1つの研究は容易に完成はしないので、例えば学会では研究過程について途中報告するに留まる、といったケースも多いです。学会自体は年に1〜2回というところが多いようです。
 研究分野によっては、他大学の研究室や、大学外の研究団体、社会教育施設などと連携・交流することが必要になる場合もあります。できるだけ視野を広くし、また資源獲得のアクセスを確保する意味でも、自分の研究室だけに閉じこもらず、積極的に外部機関へと足を運ぶとよいでしょう。