学部と大学院の違い

大学院生の生活はまさに十人十色ですが、ここではできるだけ多くの方のためになるような「研究生活充実のコツ」を紹介します。春からの院生生活の参考にしてください。

基本データ

平成24年の東大の博士課程在学者は、合計6,037名となっています。右記の表を見ると、修士から博士へ進学する人の割合は、研究科によってかなり異なることがわかります。 経済学・工学系・農学生命科学・新領域創成科学研究科では進学率が低く、これらの研究科では修士を修了して就職する院生が多いことを示しています。一方、人文社会系・教育学・法学政治学・理学系研究科では進学率が高く、これらの研究科では修士に入った段階で博士進学が前提にされている度合いが高いと言えます。 修士で修了する割合が低い研究科では、就職に関する情報や、卒業生のネットワークも利用しにくいことが考えられます。そうした場合には、自分から早めに行動を起こすことが重要になってくるでしょう(就活についてはこちらを参照)

修士修了者の博士進学率(平成22年度)

  修士修了者 進学者 進学率
人文社会系 108 69 63.9%
教育学 84 39 46.4%
法学政治学 18 13 72.2%
経済学 59 20 33.9%
理学系 327 175 53.5%
工学系 897 178 19.8%
農学生命科学 281 73 26.0%
薬学 90 46 51.1%
新領域創成科学 466 104 22.3%

修了要件、修了までにかかる年数

すべての研究科では、博士課程を修了するためには、3年以上在籍して所定の単位を取得することに加えて、博士論文を執筆することが義務付けられています。

博論を執筆して、博士課程を修了するまでの年数は研究科によって大きく異なっています。平成20年度における標準修業年限内修了率(3年で博論を執筆して修了した割合)は、次の表のようになっています。

人文系 理工農系 医学系 薬学系
1.0〜11.1% 55.2〜57.9% 31.1% 81.6%
平成21年度実施 大学機関別認証評価 評価報告書

人文系の博士課程では博士号の取得までに長くかかる傾向があります。
ただし、近年では博士号を取得していないと大学の常勤職に就くことができなくなってきているため、早まってきてはいるようです。

研究面での修士課程との違い

修士課程と博士課程では研究や普段の生活にどのような違いがあるでしょうか。東京大学が行った2011年の「学生生活実態調査」を見てみましょう。

(1)

研究にかける時間が増えます。1週間平均の研究時間は、修士42.6時間、博士47.4時間となっています。

(2)

コースワークよりも自分の研究が増え学会発表を行う機会も増えます。

(3)

研究にかかる経費も増加する傾向があります。書籍費・調査費・学会費など、すべて修士よりも博士の方が高くなっています。

他にも時間的な面では、博士課程になると、後輩の指導や、学会の事務作業などが入ってくる場合があります。特に、文系では3年間で修了しない人が多いので、自分でスケジュールを管理する能力が求められます。すなわち、博論に向けて計画的な研究が必要といえます。

修了後の進路について

理系では専門分野にもよりますが、企業の研究職に就く人が一定数います。一方、文系では基本的には大学教員か、公的な研究機関の職を目指すことになります。博士課程修了後の展望は必ずしも明るくありません。博士課程の院生は増えている一方で、少子化によって学部生の数がそれほど増加してゆかないため、大学教員の職はあまり増える見込みはありません。
しかし、自分の興味のあることを仕事にできるという魅力は、やはりアカデミックな職業ならではと言えるでしょう。こうした功罪を見極めて、進学するかどうかを検討するべきであると言えます。

博士課程進学を考える上でのブックガイド

マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

マックス・ヴェーバー『職業としての学問』(岩波文庫、1952年)

学問論の古典です。社会科学の巨人ヴェーバーが、職業として学問を志す学生の持つべき心構えや、学問には何がなし得るかを説いており、現代の私たちにとっても示唆に富んでいます。ページ数は少ないので、短時間で読めます。
マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

高山博『ハード・アカデミズムの時代』(講談社、1998年)

学問の国際的な競争が進む中で、既存の知を分かりやすく伝える「ソフト・アカデミズム」よりも、新しい知を創造する行為である「ハード・アカデミズム」の役割が大きくなり、輸入学問の伝統が強い日本の大学は淘汰されてゆく危険性を主張しています。海外生活の長い著者の議論には説得力があり、留学体験記としても興味深く読むことができます。
マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

林周二『研究者という職業』(東京図書、2004年)

「大学教師」と「研究者」を峻別し、専門職としての厳しい自覚を促すと同時に、研究を楽しむ経験の重要性を主張しています。「流行のテーマに惑わされるな」、「他部門との積極的交流に努めよ」など挙げられている「研究者としての心得8カ条」だけでも目を通してはどうでしょうか。
マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

水月昭道『高学歴ワーキングプア』(光文社、2007年)

90年代の大学院重点化によって定員が増えた大学院が、就職難の学生たちを吸い上げ、多数の「フリーター」を生み出してしまっているという主張をし、有名になった本です。一部の事例を強調しすぎている感は否めませんが、現在の大学院の抱える問題に鋭く切り込んでいます。
マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

小森陽一(監修)『研究する意味』(東京図書、2003年)

著名な研究者たちが、主に人文・社会科学系の院生に向けて研究について語っています。著者たちの若い頃のエピソードが随所に散りばめられており、勇気づけられることも多いでしょう。個人的には、藤原帰一先生の「10年間闘う根気があるか」というメッセージに惹きつけられました。
マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

榎木英介『博士漂流時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2010年)

理工系を中心としたポスドクの就職問題を扱いながら、職にあぶれつつある博士号取得者の今後を考えさせてくれる一冊です、博士進学者が向き合う可能性があるかなりシビアな現状を描いています。進学を考えている人も修士のうちに目を通しておくとよいかもしれません。

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