学生委員会

2020年06月05日(金) お知らせ

大学院生向け緊急アンケート集計 ~新型コロナウイルス感染拡大下における東京大学の大学院生の実態を把握する~ (1/8)

新型コロナウイルス感染拡大を受け、全国大学生協連は、組合員の生活実態や不安・悩みを把握するために全国の学生・院生を対象にWebアンケートを行いました。本稿では、4月30日9時30分までに東京大学の大学院生から寄せられた200件以上の回答を可視化し、学生生活の実態を概観します。

 

目次

1 アンケートの概要

  • 実施主体:全国大学生活協同組合連合会
  • 回答方法:Webフォームへの回答
  • 回答者:全国の大学院生
  • 実施期間:令和2年4月22日から令和2年4月30日(本稿では令和2年4月30日9時30分までに得られ
    た回答を分析)
  • 回答呼びかけ:東大生協メールマガジン「withnavi」登録者へのメール、SNS(Twitter等)での広報など
  • 回答件数:令和2年4月30日9時30分時点で1615件。そのうち東京大学の人のものは230件。

2 回答者の属性

2.1 部局


図1:アンケート回答者の部局別割合と、令和元年11月1日時点での東京大学大学院に所属する学生の部局別割合[1]。

図1にアンケート回答者の部局別割合と、令和元年11月1日時点での東京大学に在籍する大学院生の部局別割合[1]を示します。両者の集計時期が異なるため単純な比較はできないものの、数理科学研究科、農学生命科学研究科、教育学研究科は、在籍者数のわりには回答者数が多く、経済学研究科、医学系研究科、工学系研究科、新領域創成科学研究科は、在籍者数のわりに回答者数が少ないことが分かります。また、公共政策学教育部の回答者数は0でした。

2.2 課程

回答者のうち、修士課程の人が76.1%、博士課程の人が20.0%を占めていました。一方、令和元年度11月1日時点の東京大学に在籍する大学院生に占める博士課程の人の割合は42.1%です[1]。集計の時期が異なるため単純な比較はできないものの、博士課程の人の回答数が在籍者数のわりには少ないことが分かります。

3 居住形態


図2:通常時の居住形態。

通常時の居住形態を図2に示します。学部生向けアンケートの学年別の結果では42%から49%が自宅だった[2]ことを踏まえると、M2以上の学年の人はM1以下の学年の人と比べて自宅に住んでいる割合が低くなっています。


図3:一人暮らしをしている人が現在過ごしている場所。

一人暮らしをしている人が現在どこで過ごしているかを図3に示します。M1、M2、博士課程・その他のいずれも、8割前後の人が一人暮らしを続けている一方、2割前後の人は実家で過ごしたり、実家に出入りしたりしていることが分かります。この結果は学部1・2年生よりも学部3・4年生の結果と近い傾向があるといえます[2]。

これ以降、通常時の居住形態が自宅の人と、通常時の居住形態が自宅以外であるものの現時点では帰省している人をあわせて「実家居住者」、通常時の居住形態が自宅以外で今も帰省していない人を「独居者」と呼びます。

  • 所感:
    • 一人暮らしの人の割合が高く、その中でも実家に戻らずに一人暮らしを続けている人の割合が高くなっています。外出の自粛が要請されている状況下において、他者とのつながりを絶たれている人が少なからずいることを懸念します。

4 経済状態


図4:学費の捻出方法。

図4は、「学費はどのよに(原文ママ)支払われているか教えてください。(複数可)」という質問の回答を学年別に表したものです。M1やM2では保護者がすべて支払っているという人の割合が高い一方で、博士課程・その他では学費の捻出方法が多様化していることが分かります。


図5:家族収入がコロナ感染症拡大によってどの程度影響を受けるかの予想。

図5は、「2020年4月以降、あなたのご家族の『家族収入』は、このコロナ感染症拡大によってどの程度影響を受ける可能性があると思いますか?」という質問の回答を学年別に表したものです。学年にかかわらず減少傾向にあることが分かります。


図6:アルバイト収入見通し。

図6は、「アルバイト収入見通しについて教えてください」という質問の回答を学年別に表したものです。学年にかかわらず減少傾向にあることが分かります。また、M1やM2に比べて博士課程・その他ではアルバイトをしていない人の割合が高いことが分かります。


(a) 通常時の居住形態別。

(b) 学費の捻出方法別。
図7:この先の経済的な不安。

図7aは「この先の経済的な不安」を感じますか?」という質問の回答を通常時の居住形態別に表したものです。通常時の居住形態が一人暮らしの人は自宅の人よりも経済的な不安を感じている割合が高いことが分かります。また、図7bは同じ質問の回答を学費の捻出方法別に表したものです。奨学金の一部または全てを(原文ママ)賄っている人、自分のアルバイト収入を活用している人、学費免除の手続きをしている人は、保護者が全て支払っている人よりも経済的な不安を感じている割合が高いことが分かります。また、保護者が全て支払っている人でも半数以上は経済的な不安を感じています。

  • 所感:
    • 図4図6から、博士課程・その他の人はM1やM2の人よりも学費の捻出方法が「その他」である割合が高いことと、アルバイトをしていない割合が高いことがわかります。博士課程には、日本学術振興会の特別研究員や研究科のリサーチアシスタントといった修士課程にはない制度があり、そうした制度の対象となっている人がいることが一因かもしれません。
    • 図7aからは、通常時の居住形態が一人暮らしの人は家賃や光熱費といった費用がかかる分、より経済的な不安を感じやすいのではないかと予想します。
    • 図7bからは、奨学金の一部または全てを(原文ママ)賄っている人、自分のアルバイト収入を活用している人、学費免除の手続きをしている人といった、もともと経済的余裕がそれほどない人にコロナ禍が追い打ちをかけていると想像します。学費を保護者が全て支払っているにもかかわらず経済的な不安を感じているという人は、保護者の収入の減少や生活費の工面について不安を感じているのかもしれません。